2009年4月25日土曜日

私が買い下がりを行わなかった理由 ~ 株式投資の原理原則

私はいくつかの銘柄を塩漬けにしているわけでありますが、これはその銘柄が長期的に見て業績を回復させるだろうと考えていたからであります。
しかし中短期的に見れば業績は悪化し、株価も下落することはある程度想定しておりました。
ここで、中短期的に株価が下落するのだったら、いったん株を売って、株価が安いところで買い戻せば、同じ金額を投入すればより多くの株が買えるのではないか、こういう考え方が生まれてくるわけであります。
これがいわゆる「買い下がり」というものであります。
しかし私は「買い下がり」は行いませんでした。
それはなぜか?

私はたとえ一部の企業の業績が悪化したとしても、世界経済というくくりで見れば、経済は発展し、株式の買い手は増え続けるということを、知っていたからであります。
買い下がりと言うものは、ゼロサムゲームの中では有効かも知れませんが、新たな買い手が続々と参入する中では、まったく効果を成さないのであります。
実体経済はゼロサムゲームではないのであります。
今回の金融危機の最中だって、技術の進歩は日進月歩の勢いで進んでおりましょうし、人口も世界的に見れば増加しております。
実体経済は常にプラスに作用しているのであります。
この原理原則があるから、多くの人は投資活動に夢中になるのであります。
全体を通してみて、収益がマイナスになる可能性が高いということでしたら、頭の良い者は投資などしないのであります。

ところが、上場企業というものは、相場下落局面ではそうは増えてまいりません。
いくら実体経済が広い視点で拡大して、新規上場に足る企業があったとしても、上場を目指す企業は高値で公募増資したいのですから、相場下落では上場を控えてくるものであります。
しかも現在は弱肉強食がまかり通る世界ですから、すでに上場している企業の力はさらに大きくなり、ベンチャー企業が成長する局面は見いだしづらい世の中であります。
つまり、株式市場に流れ込むマネーは常に増えるのに、上場企業は増えてこないという事態が、相場下落局面で発生しているのであります。

こんな中で買い下がりを行えば、どういう結果が待っているでありましょうか?
今、数多くの機関投資家が、この株式投資の原理原則を思い知らされているような気がしてならないのであります。

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